「高校無償化」という言葉をよく耳にするようになりましたが、周りで高校生がいる家庭では”高校はめっちゃお金かかるよ~”などの声も聞こえてきます。
「高校無償化」の金額や実際の負担額はどれくらいかなど、無償化の条件や現状について詳しく見ていきたいと思います。
目次
高校無償化制度ってどういうこと?
正式名称は高等学校等就学支援金
対象者としては公立高校、私立高校、通信制高校など
幅広い種類の高校が対象となります。
公立高校の場合の支給金額
年間118,800円(月額9,900円) 年収制限あり
私立高校(全日制)の場合の支給金額
年間118,800円(月額9,900円) 年収制限あり
世帯の年収によっては年間396,000円(月額33,000円)
公立私立ともに支給を受けるためには年収制限があります。
次項では年収制限について見ていきましょう。
支給を受けるためには年収制限がある
年収制限を満たしていた場合
公立高校の場合・・・年間118,800円
私立高校の場合・・・年間118,800円もしくは396,000円支給されます。
※子について、中学生以下は15歳以下、高校生は16~18歳、大学生は19~22歳とする。
※給与所得以外の収入はないものとし、両親共働きの場合、両親の収入は同額として計算
している。
※配偶者控除対象となっている場合、一方が働いている場合とみなす。
年収制限は上の表のように両親が共働きかどうか、子供の人数(大学生か高校生か中学生以下か)が何人かということで年収の目安も変わってきます。表の中の年収目安を超えてくると支給を受けられない可能性もあるということです。
高校でかかるお金とは?実際に増える家計の負担額は?
高校無償化と言っても全てが無償化というわけではなく無償化の部分以外にもかかる費用が出てきます。
無償化=授業料が無償化
高校生活でいろいろとかかる費用のうち授業料が無償化の対象になります。
その他にかかる費用としては
入学金、修学旅行費等、学校納付金、教材費、教科外活動費、通学費、その他費用
などがあります。
それではこれらの費用負担が公立、私立でどれくらいの金額になるか見ていきましょう。
公立の場合の実質負担額
教育費+※学校外活動費の合計 年間51.3万円
国の就学支援金支給額年間118,800円 対象の場合
実際の負担額 513,000円ー118,800円=年間394,200円
実際の負担額 月額32,850円負担増となります。
私立の場合の実質負担額
教育費+※学校外活動費合わせて年間105.4万円
国の就学支援金支給額 年間118,800支給の場合
実際の負担額 年間935,200円 (月額77,933円負担増)
国の就学支援金支給額 年間396,000支給の場合
実際の負担額 年間658,000円 (月額54,833円負担増)
私立の場合は118,800円の支給か396,000円の支給で
年間277,200円(月額23,100円)の差がありますので
この差は非常に大きいと感じました。
私立支援金396,000円支給受けられる人はどれくらいいるのか?
高校生を持つ親の年齢を30代後半~50代前半と想定したときに各年代の平均年収より対象になるかどうか見ていきましょう。
※国税庁の民間給与実態調査による男性平均年収
男性の平均年収
35歳~39歳・・・5,488千円
40歳~44歳・・・6,016千円
45歳~49歳・・・6,247千円
50歳~54歳・・・6,835千円
両親のうち一方が働いている場合の目安
子の数 | 396,000円支給の目安 |
子1人(高校生) | ~約590万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約590万円 |
子2人(高校生・高校生) | ~約640万円 |
子2人(高校生・大学生) | ~約650万円 |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約650万円 |
両親共働きの場合の目安
子の数 | 396,000円支給の目安 |
子1人(高校生) | ~約660万円 |
子2人(高校生・中学生以下) | ~約660万円 |
子2人(高校生・高校生) | ~約720万円 |
子2人(高校生・大学生) | ~約740万円 |
子3人(大学生・高校生・中学生以下) | ~約740万円 |
45歳~49歳で共働きの場合
例1 子2人(高校生・中学生以下)
共働きの ※夫年収6,247千円 妻1,500千円 とした場合
年収合計7,747千円となり
年収制限の目安が660万円なので対象外となる(118,800円の方は対象)
40歳~44歳で一方が働いている場合
例2 子2人(高校生・中学生以下)
一方が働いている(配偶者控除対象者含む)
※夫年収6,016千円 妻年収103万円未満
年収合計6,016千円
年収制限の目安が590万円なのでこの場合も対象外となる(118,800円の方は対象)
35歳~39歳の場合
例3 子2人(高校生・中学生以下)
一方が働いている(配偶者控除対象者含む)
※夫年収5,488千円 妻年収103万円未満
年収合計5,488千円
年収制限の目安が590万円なのでここで支給対象となりました。
ということで私立の場合の396,000円の支給は年収制限があるため全員が対象になる訳ではないので注意が必要となります。
※国税庁民間給与実態調査参照
上記はあくまでも目安なので正確に支給対象かどうかは次の計算式で判定もできるという事でした。
計算式
市町村民税の課税標準額×6%ー市町村民税の調整控除の額
上記による算出額<15万4,500円 ⇒支給額39万6,000円
<30万4,200円 ⇒支給額11万8,800円
もっと詳しく知りたい方は学校・都道府県が窓口となっていますので問合せをしてみるのもいいかもしれません。
まとめ
- 公立高校の場合・・・年間118,800円(月額9,900円)
- 私立高校の場合・・・年間118,800円か396,000円(月額33,000円)
- それぞれ年収制限があります。
高校~大学にかけて家計の支出もピークへ向かう時期でもあり、児童手当の支給も無くなる時期でもあります。特に高校生とまだ小さいお子さんがいる家庭ならシフトを増やしたりと子供や自分の時間もあまり取れなくなったり、心理的、体力的にも非常に負担になるのではないかと感じます。
東京都では私立高校の授業料無償化?
東京都では2024年度から下の表のように助成を受けらるようになり、これにより私立高校の授業料は実質無償化になります。
(実際の授業料が484,000円以下の場合はその額が上限。)
年収目安 | 国の就学支援金 | 都の助成金 |
~590万円 | 396,000円 | 88,000円 |
~910万円 | 118,800円 | 365,200円 |
910万円~ | 0円 | 484,000円 |
東京都の場合、私立高校の授業料年間484,000円の助成で月額約4万円の負担軽減となります。
令和6年10月より児童手当の改定で高校生も月額1万円の支給(所得制限も撤廃)となり、合計すると月5万円の負担軽減となります。5万円はとても大きいですよね!
その分本来働かなきゃいけなかった時間を子供や家族、自分の時間として使うことが出来るようになり、仕事と子育ての忙しさも軽減されるていくのではないでしょうか。
少子化の今こういうことが大都市だけではなく全国に広まっていければと期待が高まります。